これほどまでに美しく優しい映画は他にない・・・・
監督:ケネス・ブラナー
主演
・エラ(シンデレラ)【リリー・ジェームス】
・継母【ケイト・ブランシェット】
・フェアリー・ゴッド・マザー【ヘレナ・ボナム・カーター】
- 内容★★★★
- 感動★★★★
- 演技★★★★
- 演出★★★★
目次
作品について
誰もがよく知るシンデレラの物語である。
絵本やアニメーションでは描くことのできなかった感情の部分や、登場人物のバックグラウンドなど、シンデレラの世界観により入り込むことができる。
役者の演技や撮影、物語で重要なシーンの演出など見どころが満載である。
登場人物のセリフにも注目して鑑賞することをお勧めする。
この作品が伝えたい強さと勇気の意味とその先
強さと勇気をもって、その先にあるものとは何か。
この映画のテーマにもなっていて、セリフとしても何度も登場する「強さと勇気」
ありがちな言葉ではあるが、おとぎ話の中に出てくる気休めの言葉ではない。
この作品は生きていれば誰もがぶちあたる人間関係について描かれていて、
シンデレラとは、、理不尽なその人間関係と戦う一人の女性の物語である。
強さと勇気をもって接するその先にあるものは何なのか
映画を締めくくるラストシーンでシンデレラが放つセリフがすべてを物語っている。
私たちが生きていくうえで持ち合わせたい強さと勇気とは何か。
そのシーンと同じセリフを、あなたが誰かにかけてあげることができれば、あなたは間違いなく人とは違う人生を送れる。
今はまだかけがえのない人と結ばれなくても、お金持ちになれなくても、少なくともそれらに近づいていることは間違いない。
大げさなことを言っているように思えるが、映画の中で起こることというのはあながち現実とは差ほどずれていないもの。
あらためて、人として強く生きること、そしてその先にあるものがなにかを、少し大げさな票田ではあるが教えてくれる素晴らしい作品ではないかと感じる。
子供だけではなく、大人こそ見るべき映画ではないでしょうか。
ドレスアップシーンの演出がすごい
このドレスアップシーンだけを見ても満足できる作品。
お城の舞踏会へ行くことをあきらめかけたその時、妖精ことフェアリーゴッドマザーが、シンデレラを
あっという間にプリンセスに変えてしまうシーン。
シンデレラの物語において最も有名で大切なこのシーンの演出が言葉を失うほど。
このドレスアップシーンはどんな芸術より美しい
今後どれだけ映像技術が発展しようとも、このシーンは後世に語り継がれるのではないかと思うほど。
大げさに言っていますが、一度ご覧になってみてください。
エラの優しさを見てあなたも優しくなれる
健気で、優しい、どんなに理不尽なことがあってもめげずに生きるシンデレラに同情し、そんな彼女に優しくしてあげたいと誰もが感じられるのではないだろうか。
実写映画のいいところは、感情や人間関係を少し深く表現ができるところにある。
アニメでは描き切ることができなかった、シンデレラの心情や何度か挫折してしまいそうになる描写。
信じることをやめてしまいそうになり、最後には感情を爆発させて、 怒りのままに言葉を放ってしまう。
こうした感情の変化を見ると、シンデレラも私たちと同じ人間であり、決して物語の登場人物というだけでは終わらないのである。
そんな描写があるからこそ、より感情移入ができ、見る者の心を動かす作品とななる。
個人的な意見ではあるが、この作品は是非子供見せてあげたい作品である。
だれもが知っているシンデレラの物語をほぼそのままリメイクされているため、内容は入ってきやすい。
心に響く大切や言葉やセリフは非常にまっすぐでわかりやすいものとなっている。
人として生きるうえで大切なことをここまでまっすぐに伝えてくれる良質な映画は決して多くはない。
映画は若いころからたくさんの作品を見ることで感受性や表現力が養えるもの。
この作品はきっと、優しさと勇気、そして信じることの大切さをいつまでも忘れないでいさせてくれる、
美しく優しい映画である。
鑑賞後のアフタートーク(ネタバレ)
自らをシンデレラと名乗ることへの勇気は現代社会での生き方そのもの
シンデレラというキャラクターがおとぎ話の中の存在ではなく、我々と同じ人間なのだと強く感じさせてくれる作品である。
劇中何度も心が折れそうになるシーン、妖精を信じない描写、心から舞踏会を楽しんでいたシーン、継母に感情をぶつけるシーン、私たちが常日頃から抱いている感情と全く同じだということに改めて気づかさせられる。
この作品は、おとぎ話の皮をかぶった私たちの日常と、その中で起こることへの対処法を描いてくれているのである。
対処法と言ってもそんなに簡単なものではなく、あくまで理想であるが、逆に言えばそれができたらいい人生を歩むことができるという教えではないだろうか。
劇中何度も登場する 強さと勇気 という言葉。
その先にあるものが、最後に放たれるセリフ「あなたを許します」ではないだろうか。
王子にシンデレラと名乗ることの勇気、これは自分の身分を見栄を張ることなく見せること、本当の自分をさらけ出すことは現実ではなかなか難しいことである。
無下に扱われたり、理不尽な扱いをされた相手を許し心を開くこと。
これほどの強さを持つ人間はなかなかお目にかかることはできない。
ただ、こういう人間になることが生きていく上での一つの目標ではないかと感じる。
作品内では、その後王子と幸せな結婚をするのだが、かなりわかりやすく報われている。
現実世界ではこんなことはあまり起こりえないところではあるが、少なくとも人としてかなりの人格者である
ことは間違いない。
そして人格者であれば、人よりも有利な人生を送れることは間違いないだろう。
世界を代表するプリンセスの物語で、リアルな現実社会の生き方を語るのは少々悲しくなることではあるが
逆に言えばシンデレラのようになれればいい人生が送れるという価値ある教訓を得られるのである。
幼いころ本を読んで誰もが感じていたことがあるだろう。
シンデレラはおとぎ話で、空想の世界の人だからこそ奇跡の出会いがあり幸せになれた。
シンデレラのようになりたい、そう思うのではなく、これからは自らシンデレラのような生き方を目指すのが正しい解釈なのかもしれない。