
映画は総合芸術であるのであれば、映画にかかわる人はみなアーティストである。
その中でも監督というのは作品の決定権を持つ人であり、作品に自分の人生感や持っているテーマをこっそりと忍ばせるものである。
今回は映画監督がアーティストである理由と、映画探しのヒントとなるようなお話をしたいと思う。
監督が持つテーマは共通していることが多い
ハリウッド映画によくあることなのだが、同じ監督の作品は同じテーマで描かれていることが多い。
どういうことかというと、全くジャンルが違う内容でも監督が伝えたいことが重なっていたりする。
ジェームス・キャメロン監督の作品を例に説明すると
【タイタニック】と【アバター】、【ターミネーター2】、これら3作品は全く内容が違うが
一言で表すと『立場の違う者同士の愛情』というテーマが共通する。
【タイタニック】はジャックとローズがタイタニック号で繰り広げる恋愛ドラマであるが、ジャックは貧乏人、ローズは富裕層の娘という立場の違いがある。
【アバター】はパンドラの先住民族ナヴィと地球人との恋愛が繰り広げられる。
【ターミネーター2】では、少年時代のジョン・コナーを守るため、未来からきたロボットであるターミネーターが
最終的にはお互いに愛情を抱くという、これも立場の違う者同士の愛である。
このような形で監督というのは、映画の脚本とは別に、表向きのテーマとは別に芸術としてのテーマを作品に組み込んでいる場合が多い。
そして、このテーマがより多くの人に共感できる内容であるとヒット作になるケースが多い。
逆に、こういうテーマがうまく組み込まれていないと、どこか味気ない作品になってしまう。
この内容は監督が直接話していたりする内容ではないが、同じ監督の作品を数本続けてみると見えてくるようになる。
特に、世界的ヒット作を生み出している監督であるとより分かりやすい。
興味がある方は試してみてほしい。
ジェームス・キャメロン 立場の違う者同士の愛
スティーブン・スピルバーグ 人間または知的生命体がコントロールすることができない生物の本能
クリストファー・ノーラン 人間の頭と心での選択の違い(これ本当に面白い)
演出や映画の見せ方
映画をたくさん見ていると、監督によっての作品個性が見えてくるようになる。
そこで面白いのが、演出や映画の見せ方である。
演出
演出とは、とあるシーンをどのように見せるかといことである。
この演出は監督の個性がかなり現れる場所である。
例えば、ギャレス・エドワーズ監督である。
SFや、クリーチャーものの監督をすることが多いが、そのキャラクターたちの戦闘シーンにおける演出がピカ一である
ハリウッド版ゴジラ(2014)でゴジラが熱線を吐くシーンは圧巻である。
また、ローグワンでダースベイダーがライトセーバーを振るシーンも極上である。
他にもフェデ・アルバレス監督のホラーの演出がとても素晴らしい。
ドント・ブリーズやエイリアンロムルスで、恐怖の始まりを象徴するかのシーンで無音になるのだ。
無音で進んでいくシーンは、まるで恐怖を感じる者心情を表し、それがこちらまで電線してきてしまうのである。
ギャレス・エドワーズ 映画内のキャラクターの動きや登場の仕方
フェデ・アルバレス 恐怖のシーンの見せ方、音の使い方
サム・メンデス 重要なシーンの美しさ
ラストシーン
映画の見せ方いうならクリストファー・マッカリー監督のラストシーンはとても素晴らしい。
クリストファー・マッカリー監督と言えば最近はミッションインポッシブルで有名である。
第5作目にあたる【ローグネイション】であるが、そのラストシーンはとてもスマートで静かに終わるのである。
ミッションインポッシブルという、アクション映画の象徴ともいえる作品のラストがとても静かなので
そのギャップに驚かされるのである。
しかし、そのラストシーには説得力がありとても美しいのである。
このように、演出だけでなく、ラストシーンやアクションシーンなど印象に残るシーンなど、この監督の特徴だというと心が見えてくるととても面白い。
クリスファー・マッカリー 映画の内容とラストシーンのギャップ
クリストファー・ノーラン 絶対に裏切られるラストシーン 予想不可
映画の楽しみ方
映画の芸術性についてはまだまだたくさんあるが、一つ言えることはこれらをすべて無意識に感じ取ってみているといいうこと。
だからこそ面白く感じるのである。
これらの理由を把握せずとも映画を楽しむことはできる。
ただ、しっているとより楽しめる可能性が高いのは間違い。
最初は見てもあまり理解できなかったり、わからないかもしれないが、鑑賞本数を重ねていくうちに徐々にわかってくるようになる。
とにかく、1本でも多く映画を見て、どんどん好きになっていけばいいだけなのである。