映画の見方

マイエレメント

引用元:(C)2023 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
画像引用元:https://eiga.com/movie/98389/

概要

原題:Elemental
公開:2023年8月4日
監督:ピーター・ソーン

あらすじ

火、水、土、風のエレメントたちが暮らすエレメント・シティ。
見た目も美しく、個性あふれるエレメント達が暮らすエレメント・シティ、
そこで暮らす火のエレメントであるエンバ―は家業の雑貨屋を手伝いながら日々を送っています。

ある日、とある理由で水のエレメントであるウェイドと知り合います。
他のエレメントと関わることを避けていたエンバ―でしたが、ウェイドとの関係が深くなっていきます。

しかし二人が一緒にいることによって様々な問題が発生し、それはエンバ―の家族との問題にまで発展します。

大切なものはいつも家族であってほしい

ピクサー作品の中でもひときわ美しい映像と、心温まる内容で物語を描くピーター・ソーン監督の作品である。
本作品の大きなテーマはやはり家族や友達の大切さや絆ですが、その表現や伝え方はまさに名監督さながらです。
終始ほっこりする,見ていて安心感のある作品であるため、心を癒したいときに鑑賞するのがおススメです。

透明がとにかく美しい

ピーター・ソーン監督の作品はとにかく映像が美しい。
前作の【アーロと少年】で、水の美しさの表現には圧巻だった。
映像を見せることがメインにはならず、さりげなく1シーンとして登場するのもずるい演出である。

今回の【マイエレメント】に関しては、キャラクターの表現ととにかく透明なものの映像が実に美しい。
主力キャラクターのウェイドの映像表現も圧巻である。
監督自身もキャラクターの質感を出すのに苦労したと話しており、よほどのこだわりが伺える。
ストーリー以外のところでまた見たくなる、そんな素敵な映像作品でした。

自身のなさは誰もが持つ悩み、解消する方法は他への思い

ピーター・ソーン監督の作品のテーマで、大切なものを守るために突然強くなる主人公の心みたいなものがあります。
いつもそばにいる友達が、引っ張り上げる形で強くなる。
そこにはやはり家族や友達の大切さが語られています。
現実世界でも、自分が変わるときは必ず一緒にいてくれる人がいるもので、
そう言う存在やその存在のありがたみって意外と気づかないし忘れがち。

今作で改めてそういうことへの感謝を思い出してみるのもいいかもしれませんね。

大切なものはいつも家族であってほしい

家族って、めんどくさい
いい意味でも悪い意味でも、、、、
いつもそばにいてほしい存在、でも、時に自分の道に立ちはだかる邪魔な存在。
感情的になっても許されてしまう、家族だから何を言ってもいいんだと。

そんな家族は、いつもあなたを一番に思い、行動し言葉をかけてくれます。
『そんなことはわかっている』、『だからこそわかってほしい』、
多くの人が共感できるであろう家族間の気持ちの行き違い、そこに向き合えた時、人生はまた一歩前進しますよね。

ピクサーはもはやただのアニメーション映画ではない

家族の大切さ、生きていく中で当たり前のように
でも家族の大切さって、一番忘れがちな部分でもある。
そんな当たり前のことをあえて映画を見ることで思い出すのもいいかもしれませんね。
アニメーションという一見子供向けのイメージがありますが、あえてアニメーションという一番わかりやすい方法で感じるというのもよかったりします。

大人になってまでアニメを見るのはバカバカしいかもしれませんが、そのアニメーションは我々と同じ大人が想像し、作っていることに他なりません。

ピクサー作品には子供心を忘れない大人の、大人に向けた仕掛けもしっかり描かれているので、一度何もかも忘れて鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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鑑賞後の アフタートーク ネタバレあり

ウェイドのエンバーに対する行動が、まるで小学生のような恋愛観で、きゅんとした観客も少なくなかったでしょう。
この小学生のような恋愛観が見ていて物足りないという評価も存在し、映画公開時は低評価からのスタートでした。

ところが今作は最終的に興行収入は700億ドルを超える、ピクサー史上最大の興行収入となったのです。

しかし、人とのつながりが薄くなってしまった現代に、忘れようにも忘れることの出来ない感情というものがそこにあるのではないかと思います。
たとえ小学生のような幼い恋心だとしても、一生懸命に思いを伝えようとする、その気持ちや行動は多くの人が持つ気持ちやあこがれだと、共感したのではないでしょうか。
そしてそれを素直に感じ、感情移入することができたことが今作は、いい映画だという何よりの証拠だと思います。

公開当初は興行収入が伸び悩み、一時心配されていたがその後は世界中で大ヒットとなったピーター・ソーン監督の作品は他のピクサー作品に比べて、とりわけ穏やかな作品だと感じます。
映画を見て癒されます。

テーマやストーリーだけでなく、視覚的にも非常に優しい部分がある。
これは映画が芸術である事の最たる理由であり、監督の人柄がよく出ている部分ではないだろうか。

ウェイドの行動が


他を思う気持ちの最たるものが愛であり、愛があるからこそ誰かのために動くことが出来る。
それは家族や友達だけではないけれど、でも一番は家族や友達のためにあってほしい。
そんな思いを体現してくれるのがウェイドというキャラクターである。
エンバーのために危険を顧みず行動したり、自ら場違いな場所で演説したり、その不器用な行動の数々にちょっと顔を赤らめてしまう。
とにかくエンバ―が好きなんだと伝えてくる、そんなかわいらしいロマンスがこの映画により彩りを付け加えているきがします。
小学生のような幼い恋のよう、

今更そんな不器用な恋を見せられても、、、そんな声が聞こえてきそうですが、映画というものは本当に不思議で、しっかり共感し感情移入させられてしまうのです。

その時の時代背景をうまく表現しているもの。

現代人は、結婚離れや恋人離れなどもはや愛というものを遠ざけて行ってしまっているということをよく耳にします。
SNSが普及し、直接会話せずとも誰かとコミュニケーションがとれてしまう時代になった今、愛の告白も電子メッセージ1つで完結してしまう。

現代人に燃え上がるような素敵な恋をしている人って、少なくなってしまってるんじゃないかと、私自身も思います。

やっぱり誰かと会って、誰かを好きになって、そんな人間らしい生き方を一人でも多く思い出してほしい、そんな願いが込められてるんではないかと感じられずにはいられません。

SNSで、、そんな時代もありなのかもしれませんが、やはり味気ない、物足りない、喜びが小さい、そう感じざるを得ないのは間違いないです。
傷つきたくない、変な風に思われたくない、その裏側には直接伝えたいや直接触れたいが隠れているのではないかと思います。

大好きな人を目の前に、自分の気持ちを素直に伝えることが出来るのは、人としての喜びであり、醍醐味であると思います。

誰かのために何かをしてあげる、時に勇気を出して行動する。
日常にあるほんの些細な愛情のやり取りをもう一度思いだしてほしい、本作品にはそんな思いも込められているように思えます。

もし、あなたがこの映画を見て少しでも感動し共感が出来たのなら、
それはまぎれもなく、あなたにも例外なく愛があり、その愛を形にしいと心では願っている、そういうことなんだと思います。

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